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冷暖自知:まずやる、すぐやる

目の前の水の冷たさや暖かさは、自ら触ってみることなしに知ることはできない。水の温度がどのくらいかもわからなければ、冷たい/暖かいという感覚そのものも赤ちゃんにはわからない。

何事も自分の体を使って体験してみないことにはわからないということを教え、身を持って体験することの大切さを説く言葉です。

冷たい/暖かいに限らず、多くの感覚は体験することで始めて理解することができます。刺されてみるまで注射の針の痛さはわかりませんし、ドリルで脳が揺さぶられる体験をした人は虫歯の治療と聞くと顔をしかめるでしょう。

食べ物や飲み物のおいしい/まずいも食べてみるまでわかりませんし、人間関係の合う/合わないも実際に人に会って(一定期間その相手を体験して)みないとわかりません。そう、残念なことに物事をちゃんと知るためには体験するしかないのです。

ただこの世界の全てのことを体験するにはあまりにも人生が短く、世界は限りなく広く発展し続けます。だからこそ、人生において重要なこと、そして選択肢が多いことは意思決定が難しいのです。全ての異性を体験してから、結婚するわけにはいきません。

仕事も同様です。好き/嫌いや得意/不得意、合う/合わないもその仕事を知りやってみないとわからないことの方が多いのです。だからキャリアを考える際には計画も大事ですが、それと同様、特に変化のスピードが速い時代にはそれ以上に「まずやる/すぐやる」姿勢が重要です。

例えば同期から誘われた社内の勉強会。普段は縁遠い経営戦略の立案に現場の若手としてアイデア出しをする体験を通して、将来は経営企画で仕事をしたいなと気付くかもしらません。アサインされた新規プロジェクトで、これまで全く関係なかった社内の別事業に興味を持つかもしれません。

憧れていた経営コンサルタントに転職したものの、過度なプレッシャーと労働環境が合わず音を挙げてしまうかもしれませんし、半年スパンの短期プロジェクトを移ろうよりも腰を据えて事業に関わることに喜びを感じる自分に気付くかもしれません。

自分でECサイトを立ち上げモノを販売することや、ブログやSNSで世の中に発信する体験を通じて、マーケティングに興味を持つ人もいるかもしれません。ボランディア活動への参加を通して、地域活性化や地方創生への関心が高まるかもしれません。

水の冷たさですら体験しないとわからない私たちにとって、何もしないことは何もわからないことに等しいのです。キャリアにおいて「やりたいこと」や「得意なこと」がわからない状態は、そもそも体験が少ないことに起因している場合が多いのです。まずやるすぐやる姿勢を心掛けたいものです。

読んだことのない分野の本を選ぶ、行ったことのない場所に行く、会ったことのない人に出会うなど、やったことのないことを体験する全てのことで私たちは世界を広げていきます。そしてその世界に自分がどう反応するかを知ることで、自分自身を理解していくのではないでしょうか。

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