top of page

構造的アプローチ:ホランド理論

ジョン・L・ホランド(John L. Holland)は、アメリカ合衆国の心理学者。ジョンズ・ホプキンス大学で長く教授を務め、オマハ大学で修士号、1952年にミネソタ大学で教育博士号を取得。ホランド理論(Holland Codes)という呼称で知られているRIASECキャリア・ディベロップメントモデルの提唱者である。

「個人のキャリア選択は、個人のパーソナリティと仕事環境との相互作用の結果から出来上がるものである」としたホランド理論は、「適職探し」に役立つ理論として広く知られています。

理論の背景には、自分の性格や興味と一致するような環境で仕事をすることが、『安定した満足のできる職業選択』につながるという思想があります。このホランド理論を支える主な2つの考え方に「パーソナリティタイプ」と「ワールドオブワークマップ」があります。

パーソナリティは個人の生まれ持った素質や育ってきた環境との相互作用から形成・発達し、人間の行動を規定するものです。ホランドは、パーソナリティを以下6つのタイプに分類しました。

※各タイプの頭文字をとり「RIASEC(リアセック)」とまとめられています。

※参考:CPS-Jとは何か http://www.nipponmanpower.co.jp/ps/think/cpsj/about.php

※「CPS-J(Career Planning Survey Japanese Version:キャリア・プランニング・サーベイ-ACT社

/日本マンパワー1998)」などのアセスメント・ツールで、6つのタイプを科学的な方法で知る。

ホランドはこれらの分類について以下2つのポイントを補足しています。

●各タイプ毎に、様々な問題や課題に取り組むときの姿勢・方法に特徴がある。また情報の選択・加工方法にも特徴がある。

●どのタイプも独自の活動・独自のスキルや才能を活かし、独自の目標を目指すことによって自己充実しようとすることは共通している。

これら6つのパーソナリティの相互関係を表現するホランドの6角形を提唱しています。

この相互関係はシンプルで、6角形で隣り合わせにあるタイプは類似点が多く、対向するタイプは逆に類似点が少ないタイプであることを意味しています。つまりタイプの類似性は、タイプ間の距離に反比例します。

このパーソナリティは必ずしも1つのタイプに限定されることなく、複数タイプの組み合わせであることが一般的なようです。実際にホランドも「6種類の人間しかいないという仮説は常識では受け入れがたい」とし自分に近い順にパーソナルタイプを3つ組み合わせて考察することを推奨しています。

ここまで理解してきたパーソナリティタイプをもとに、自分にあった仕事環境を特定するのが、ホランド理論であると述べてきました。そこで次は仕事・職業について理解を深めていきたいと思います。

ホランドは、「データ」「アイデア」「人」「もの」の4つの次元であらゆる職業・職種を分類できるとしており、それを「ワーク・タスク・ディメンション」と名付けました。

※参考:CPS-Jとは何か http://www.nipponmanpower.co.jp/ps/think/cpsj/about.php

「データ」⇔「アイデア」、「人」⇔「もの」はそれぞれ正反対に位置し、その両方が組み合わさっている仕事はほとんどないといわれています。さらに、このワーク・タスク・ディメンションをもとに、世の中に存在する職種を6つの塊に分類したものを「キャリア・クラスター」と呼びます。

そして「ワーク・タスク・ディメンション」と「キャリア・クラスター」の関係性は、以下のように示されています。

日本でも約3万種類に分類(※労働省編職業分類)されている仕事・職業を6つのキャリア・クラスターに分類するだけではわかりにくいため、仕事の内容特色が似ている23個のジョブファミリーに分類しマッピングしたものが「ワールド・オブ・ワークマップ」です。

ホランド理論は「自分のパーソナルタイプがわかれば適職がわかる」と主張する理論ですが、パーソナルタイプと適職の関連性を以下のように示しています。

ホランドの6角形に、キャリア・クラスターとディメンションを書き足してみると

このような関係性になっていることがわかります。

アセスメントツールを活用して厳密な分析をしたわけではないのですが、直感的に自分自身のパーソナルタイプについて考えてみると、パーソナリティタイプ(キャリア・クラスター)は社会的(ソーシャル・サービス)と企業的(管理的ビジネス)の2つが強そうです。

そして、これまで経験してきた職業が「キャリアコンサルタント」「人材サービスの事業企画」「ビジネススクールの運営責任者」「キャリアセミナー講師」なので、やはりパーソナリティと適した職業はある程度の関係性があるような実感を持っています。

皆さんの「パーソナリティ」と「現職」はいかがでしょうか。

bottom of page