発達的アプローチ:ギンズバーグの発達理論
エリ・ギンズバーグ(Eli Ginzberg,1911~2002)。アメリカの経営学者。キャリアカウンセリングや職業指導(進路振動)の発達理論の大家として知られている。発達的キャリア・ディベロップメントを理論化した最初の人物。
「職業選択は1つの時点でなされる」という従来の考え方を否定し、一連の選択・意思決定の繰り返しで構成される発達的プロセスであるとし、その特徴を以下の3点に要約しています。
1.職業選択は、青年期の全期間を通して行われる。
2.そのプロセスは連続的なもので、基本的には不可逆的である。
3.職業選択は、個人的要因(興味・能力・価値観)と現実的要因(雇用機会)の妥協である。
この理論は1950年代に構築されたが、青年期までに限定した理論であることから以下のような修正が加えられています。
<修正後>
1.職業選択は、生涯を通して行われる。
2.そのプロセスは、後戻りも可能だが、時間や経費などの損失を受ける。
3.職業選択は、個人的要因(興味・能力・価値観)と現実的要因(雇用機会)の最適化の過程である。
ギンズバーグは青少年の面談調査の結果に基づき、キャリア発達のプロセスを3つの段階に分けて説明しています。
試行期においては4つのステージを経て、職業選択に近づいていきます。
1.興味ステージ:物事に対して、好き嫌いを判断する
2.能力ステージ:自分の得意不得意を理解し、得意と仕事をひもづける
3.価値観ステージ:職業に関する理解がより明確になる
4.過渡期ステージ:職業選択に関心を持ち始める
10代のうちに様々な体験を通して、自分の好き嫌い・得意不得意・価値観を明確にしておくことの重要性がわかります。そして現実期には、3つのステージを経て自分の職業を選択し働き始めます。
1.探索ステージ:職業の選択肢の可能性を探索する
2.結晶化ステージ:仕事を選択する条件が具体的になる
3.特殊化ステージ:仕事の為に専門性を身に付ける、あるいは仕事を始める
各時期の年齢については、時代や国や個人により大きく異なる可能性があることも補足しておきます。