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社会的学習理論アプローチ:バンデューラの社会的学習理論

アルバート・バンデューラ(Albert Bandura 1925年-)。カナダ人心理学者。カナダのブリティッシュコロンビア大学を卒業後、アイオワ大学にて博士号を取得。アメリカのスタンフォード大学の心理学教授、アメリカ心理学会会長を務める。「社会的学習理論(モデリングによる学習)」や「自己効力感」で広く知られている。

バンデューラは、従来の学習理論が学習する個体自身の経験や他者からの強化(刺激)を前提としていたのに対し、他の個体の行動を観察し意識的に模倣(モデリング)することによっても成り立つことを実験(※)により実証し、新たな理論を提唱しました。

※子供たちを「実験群」と「対照群」の2つのグループに分ける。 実験群には部屋で1人の大人が、風船のように膨らませた「人形」に乱暴しているのを見せる。対照群には普通に大人が遊んでいるのを見せる。その後各グループの子供たち1人ずつをおもちゃの部屋に入れ、行動をフィルムで撮影する。結果、実験群の子供たちは対照群の子供たちに比べて目に見えて攻撃的だった。実験から子供は明らかな強化を与えなくてもモデルの行動を自発的に模倣することを実証。

モデリングとは、他の個体の行動と結果を観察し模倣することによって、行動パターンを学習(修正)することを指し、以下4つの過程が存在します。

例えば、子供が「歯を磨く行為」をモデリングの過程にあてはめると(多少強引ですが・・・)以下のように整理することができます。

[注意過程]

親(モデル)が歯を磨く様子を観察する(注意過程)

[保持過程]

歯ブラシを手に取り、適量の歯磨き粉を乗せ、口内の上下・左右・表裏に万遍なくブラシを動かす行為を記憶し、シミュレーションする(保持過程)

[運動再生過程]

実際に歯ブラシを手にしながら、磨いてみる。修正する。(運動再生過程)

[動機づけ過程]

自分で歯を磨けるようになると親から褒められる(外的強化)。さらに上手になろうと磨きにくい奥歯や歯の裏まで意識的に磨き、継続・上達する自分を誇らしく感じるようになる(自己強化)。

このモデリングを通じて得ることができる効果として以下の3つが挙げられています。

●新しい適切な行動の習得

●不適切な行動の制止・抑制

●反応促進 ※他者に誘発され行動する

自己効力感とは、ある状況において適切な行動とることができるという予測や確信で、「自分ならできる」という自己への信頼感・有能感のことを言います。

バンデューラはこの自己効力感を「自分が物事をコントロールしているという効力に関する信念」とし、以下4つの影響要因により、それが形成されるとしています。

これら4つの要因から、大小の影響を受けることは間違いないが、重要なことは「これらの要因を自分自身がどう捉えるか」だと述べています。

今している体験をどう捉えるか、モデルとなる人の成功をどう活用するか、第3者の意見をどのように受け入れるか、生理的・感情的な状態をどう乗り越えるか。自己効力感を高めるために影響要因をどう活用できるかは、捉え方次第で変わるということです。

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